2019年9月2日月曜日

1315 老猫と腎臓病(腎不全)23 ターミナルケアに特化した本


ここ数年、完全室内飼いの猫の寿命が延びたことに伴い、老猫の世話に特化した本が増えた感があります。老齢期の特徴、かかりやすい病気、ご飯などの世話の仕方がメインで、終末期(看取り)が最後の章で触れられているという構成が多いと思います。
ところが最近購入した本は、コミックなのですが、「ここまでピンポイントで来るかっ!」とびっくりするほど終末期に特化していました。

「まんがで読む はじめての猫のターミナルケア・看取り」(猫びより編集部・編)



物語は、14歳の「もすけ」という飼い猫がリンパ腫と診断され、飼い主の34歳独身男性・鈴木くんは先生の説明と余命宣告に思考がフリーズしてしまいます。ネットで情報を漁り知識は得るものの、闘病記の猫たちは期間の長短はあれど死んでしまうことがわかり落ち込みます。

病院で「もすけ」の処置を半泣きで待っていると、ダリアさんという年配の女性(この人も通院者)に「まだ生きてるじゃない。やること、いっぱいあるでしょ。あなたにしかできないことがあるわよ」と励まされ、今できることをやろうと我に返ります。そんな鈴木くんと「もすけ」の病気発覚から看取りまでの約2ヶ月のお話です。
(カバーをめくると重要な場面が印刷されています)
コミックのおかげか、文章よりも脳内に入りやすくわかりやすいです。獣医師が監修、医療指導をしているので内容も明確ですし、「末期の際にできる治療」「治療方針を見極めるタイミング」などのドクターズコラムや、「安心していられる環境づくりを」「猫に安心をもたらす飼い主の心の元気」などの実践的コラムがコミックの間に挟まれているので、メリハリのある作りになっています。

主人公が若い男性のせいか、悲観的になって泣いているシーンも湿っぽくならず、というか異常に感情移入せずにすみました。(個人差がある感想ですw)
年配のダリアさんという明るいおばちゃんの存在が悲観的に流れる場面を緩和しているように感じました。ただ、鈴木くんが20日も年休を取って看病するあたりはちょっと現実味が薄いかなぁという気がしましたが。

この本は涙無くしては読めません。電車や病院の待合など人前で読むのは避けたほうが良いかもです。
まだ猫が若くて元気な場合はピンとこないかもしれません。登場猫と同じリンパ腫だったり、末期の腎臓病など今まさに闘病中の猫さんと暮らしている方、老猫と暮らしている方にはかなり読むのが辛いと感じるかと思います。

でも、避けては通れない道。
少しでも心の準備をすること、そして覚悟をすること。それを教えてくれる本です。
そして、私がこの本を読んで思ったことは、
泣くのは後でもできる。今できること、やるべきことは何かを考えて実行すべし!
久々に猫本の良書と出合いました。超オススメです。

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