先日、この「老猫と腎臓病(腎不全)」を読んでくださった方からリプライをいただいたことから、皮下輸液(点滴)の体勢(ホールド)について補足したいと思います。
我が家の猫は、点滴すると体が楽になると気づいたのか、点滴を開始してしばらくしてから膝上でじっとしてくれるようになりました(冒頭写真。点滴終了後なので抜いた針が床に置いてあります)。
その猫が逝った1年後、2匹目の猫がご飯を食べなくなり脱水状態となったため、点滴をすることになりました(詳細は別途書きたいと思います)。
その猫が逝った1年後、2匹目の猫がご飯を食べなくなり脱水状態となったため、点滴をすることになりました(詳細は別途書きたいと思います)。
案の定、暴れました。
そこで、留守中の面倒をみてもらっている方から、点滴時のホールドのコツを教わりました。
猫は捕まえると後ろに下がって逃げようとする傾向があるため、それを阻止するべく点滴をする場所と座り方を決めます。
まず、猫が後退できないように壁に向かい、人が正座または足をM字に崩して床に座ります。壁と膝頭の隙間は猫の大きさ(長さ)にもよりますが、膝が壁に当たるか当たらないかくらい。猫が後退して足と壁の隙間から逃げないように座ります。
エプロン、あるいはタオルなど猫の顔を覆い隠すことができるものを身に付けます。(タオルは太ももの上に置きます。)
猫のお尻を壁側にして、人の足の間に猫をはさみ入れます。(つまり猫の頭は人間の股の間。)
壁と猫のお尻は付くか付かないかくらいで。先に述べたように猫が後退できない、身動きできないくらいの位置にします。
絵にしてみましたが、こういう絵が苦手ですみません。
猫の頭にエプロンまたはタオルを被せて落ち着かせます。
人の体に対して猫の体が通常より(冒頭写真参照)90度動いていますので針を刺しづらいですが(皮をつまむ左手の手首をひねらないとならない)、やっているうちに慣れてきます。
以上ですが、これが意外と逃げないのです。逃走を図る猫ちゃんにお試しください。
また、これまでの繰り返しになりますが、点滴をする際に人間が「必死」になると猫には「殺気」として伝わるそうですから、なるべく心を落ち着けて処置に当たってください。
といっても、慣れるまでは必死になってしまうんですけど。
最初は本当に怖くて針を持つ手が震えました。数ヶ月くらい震えていたと思います。
以前にも書いた通り、皮を持ち上げて、その皮の根本に猫の体に対してやや平行に針を刺すようにすれば大事には至りません。
肩甲骨のあたりには太い血管はないので、間違って血管内に点滴してしまうということはないと獣医さんから聞きました。その獣医さんでもたまにドバッと出血させることがあるそうですが、押さえていればすぐ止まりますから焦らずに処置してください。
点滴を始めた頃は、針を抜くと液漏れを起こすことがあります。皮の内側にそれなりのスペースがまだできていないのか、点滴をしたところの皮下スペースそのものが狭いのかわかりませんが、ひどい時は猫が動くたびにしずくがポロポロとこぼれます。これが数時間続くことがありました。
100〜200ミリリットルくらいを点滴していればこれが全部漏れ出ることはなさそうですので、猫の体や床が濡れるのは気になりますが、漏れそのものはあまり気にしすぎないことです。
点滴に慣れていない頃は、無事に点滴が終わるとホッとするのも束の間、すぐ翌日の点滴の心配をするという心理状態で気の休まる暇がありませんでした。これは猫にも伝わるので、その日の作業が終わったら点滴のことはスパッと忘れましょう。
明日は明日でなんとかなる!慣れてくると本当になんとかなってましたから。
(あー、これらのことを当時の私に正座させて言い聞かせたい・・・。)
それと、最悪の事態(重篤になった場合に治療を続けるのか、死亡した場合の葬儀はどこに頼むか、など)を想定することは大事ですが(縁起でもないと言って避けるのではなく、前もって決めておいた方がいいです。慌てずに済みます)、くよくよするのはいけません。悲しみを先取りして泣く前に、猫との残りの時間を大切に過ごしてください。案外、うちの猫みたいに4年近くも点滴しながら過ごせるかもしれません。
頑張りすぎず、肩の力を抜いて、看病してあげてください。
それと、猫の声は容姿などよりも記憶から薄れていくのが一番早いような気がします。ムービーやボイスメモでなるべく多く残しておくことをお勧めします。