「不定期に本屋さんに行き、知らない作家の本を少なくとも1冊は買う」というルールに則って紹介する第15回目。
今回は、かたやま和華・著「猫の手、貸します 猫の手屋繁盛記」です。
ますむらひろしワールドかと錯覚するくらい、人間と同じ大きさの白猫が二本差しの侍姿で長屋に住み内職の虫かごを作って、よろずひきうけをやっています。長屋の人も市井の人も違和感なく白猫侍を受け入れてます。不思議な世界が広がってます。
個人的には、アタゴオルより「コスモス楽園記」が好きです。
話がそれました。
「猫の手、貸します」は、長屋の夫婦の子供が行方不明になる「迷子地蔵」、大店の店主から亡くなった妻が住んでいた別宅の幽霊の正体を確かめて欲しいと依頼される「鳴かぬ螢」、白猫侍がさらに本物の猫と同じサイズにされて猫と交流する「思案橋から」という3つの短編から構成されています。
話がそれました。
「猫の手、貸します」は、長屋の夫婦の子供が行方不明になる「迷子地蔵」、大店の店主から亡くなった妻が住んでいた別宅の幽霊の正体を確かめて欲しいと依頼される「鳴かぬ螢」、白猫侍がさらに本物の猫と同じサイズにされて猫と交流する「思案橋から」という3つの短編から構成されています。
猫先生、猫太郎と呼ばれているこの白猫侍・近山宗太郎。実は人間だったのですが己の業により白猫姿にされ、徳を積んだら元の人間に戻れるらしいということが冒頭で分かるのですが、なぜそうなったのかは物語の最後のほうで明らかになります。
作者は無類の猫好きと見えます。カバーの作者紹介欄では「飼い猫を乳母日傘で育て」とありますし、作中の大店の店主も飼い猫を乳母日傘で育てているシーンが出てきます。
そして、あの猫絵でもおなじみの歌川国芳も出てきます。猫先生に頼まれて猫絵を描くのですが、その絵の報酬にと「猫先生の肉球を嗅がせて欲しい」と、くんくんはあはあするシーンは猫好きな当方もわからないでもないですが(私はやりませんよ)、かなり変態チックに書かれていて大丈夫か?と思いました。
とすると、この物語の時代背景はそのあたりなんでしょうか?町や通りの名前、そこからどこまで歩くと何町でとか、神社の名前とか、古地図に興味がある人ならピンとくるかもしれませんね。
作者の猫好きも極まれりと思ったのが、猫先生がホントの猫になって他の猫たちと会話するシーンです。これはうらやましいなぁと我が飼い猫を見ながら思いました。
書き忘れましたが、笑えるエピソードが「猫先生は自分が猫の姿なのに、実は猫が苦手」というものです。
さて、猫先生が人間に戻るには、世のため、人のため、おのれのため、猫のために百の得を積まねばなりません。術をかけた者からするとまだ7つくらいしか達成していないらしいところで物語は終わりになっています。
猫好きとしては、ぜひこの続きを読んでみたいと思いました。
調べて見たところ、この作者さんはどちらかというとコバルト文庫とかメディアワークスなどで書かれていて、いわゆるラノベ作家さんなんでしょうか?これらの本を書店で目にしても読んだかどうか、少々心許ないです。
今回は 猫がつないだご縁でしょうね。
「猫の手、貸します」は上記のような先入観なく楽しめます。猫好きは必読ですっ。
(余談)
歌川国芳の「肉球くんくんはあはあ」の余韻がいまだ冷めないなか、こんな広告を見つけてしまいました。
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