2015年3月24日火曜日

1051 桜を素材にした盆栽を習ってきた


いよいよ桜の花のシーズンですね。
もう十数年前になりますが、鉢植えの桜だったら大きな庭が無くても、マンションのベランダでも花見ができると思い購入したものの、夏が来る前に枯らしたことがありました。そんなほんの数ヶ月の栽培に終わった経験があります。

先日、いつも行く花屋さんに苔に覆われた小さな桜の木を売っていたのですが、一度枯らしているので後ろ髪引かれつつ購入を諦めました。そんな折、とある広報誌に桜の盆栽の写真が掲載されているのが目に付きました。
北海道岩見沢市にお住まいの盆栽作家・君島信博さんの紹介記事で、地元・岩見沢のほか札幌などで盆栽教室を開催しているとのこと。そして、なんと桜の盆栽教室が開かれるというので参加してきました。
そこで教わったことを自分用のメモ的にまとめてみました。
(抽選で順番を決めて好きな枝振りの鉢を選びました。)
今回使用した桜は「旭山(あさひやま)」という半八重咲きの桜です。この品種は栄養状態によっては一重咲きにもなるんだそうです。遅咲きの桜で、ヤマザクラほどではありませんが葉も同時に出る品種です。

この日は仮植えしたプラスチック鉢から直径15センチほどの万古(ばんこ)焼きの鉢に植え替えるところから始まりました。


短めのワイヤーをホチキスの針の形にし、鉢の穴に土留めのネットを固定します。
次に長めのワイヤーを鉢の底に空いた穴(どれか2つを使う)に通しておき、両端を鉢の外に折り曲げて出します。これはのちほど根と鉢を固定するときに使います。
ここに中粒のゴロ土を2〜3つまみ入れます。鉢の穴を覆うだけですので最低限の量で十分です。
この上にゴロ土が見え隠れするくらいの粒状の土(上の写真)を入れます。これは5〜7ミリの赤玉土と火山礫のブレンドしたもので、空気が粒の隙間に入るようになっているとのこと。
この土は予想以上に乾くのですが、根は乾くと伸びるため根の生長には良いのだそうです。つまり常に湿っている状態の土ですと根の生育は悪くなるとのこと。
(先生が太い根を切った後に癒合剤を塗っているところ)

年配の方が「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」と言うのを耳にすることがあるのですが、桜は切ってはいけないものではないそうです。ですので、盆栽に仕立てる際に枝を切っても大丈夫なんだそうです。
ただし、木の中心部を腐らせてしまいますので切りっぱなしはNG。切り口には「癒合剤(ゆごうざい)」というペースト状の保護剤を塗ります。この成分の中には殺菌効果のあるものも含まれているそうです。ホームセンターの園芸コーナーなどで販売されています。
もし癒合剤が無い場合は、墨汁が代用できるそうです。

枝の切り方ですが、切りたい枝の横から出ている小枝の付け根あたりで切ること。横枝と横枝の中間で切らないこと。枝振りや成長に影響が出るそうです。
なお、今回使用した桜はすでに剪定が終わっているものが使われましたので、説明の後は次の作業に移りました。
(ボウルの中で土を落としているところ)

仮鉢から桜を引き抜き、竹べらで土をすべて落とします。ここはおっかなびっくりやらなくてもよいそうで(根が多少切れても大丈夫)、9割ほど落としたら先生が水を張ったボウルの中で残りの土をすべて落としてくれました。

次はいよいよ植え付けです。
盆栽には「正面」があるんだそうです。ここのところは鉢植えと違いますね。
まず、万古焼きの鉢には足が3つありました。そのうちの1つが手前にくるように自分の前に置きます。つまり逆三角に足が並びます。

盆栽の植え方というのは中央にどでーんと置いてはおもしろみに欠けるので、枝振りをみてアシンメトリーな感じで鉢に据え置きます。鉢の中心を外して左右どちらかに寄せると味が出るそうです。根は内側にまるめるようにしてまとめて鉢の中に収めます。

枝振りはまず左右を決めます。どの枝がメインでどっちに流れているか。幹の曲がり具合はどうかなどを見極めます。この流れ方で鉢のどちら側に寄せるかが決まります。
ここのところは感性ですが、当方、最初はシンメトリーになっておもしろみに欠ける構図になってしまいました。

次は前後も確認します。盆栽は奥行きを感じさせるようにするのもポイントとのこと。なかなか立体的な構造なんですね。
さて、配置が決まって桜を鉢に収めたら、先ほどのブレンド土を鉢すれすれまで入れます。
次に竹べらで根と根の間を土の上から刺し、その竹べらを刺したまま振動させるように揺らして土が根の中に入るようにします。これがなかなか時間がかかったのですが、最初に盛った土がどんどん下がっていきます。下がった分の土を足していき、土の表面を触ってもふわふわしなくなったら完了です。この状態で木をつまんでみてもすぐには抜けないのにはびっくり。これは普通の鉢植えで土を取り替えるときのテクニックとしても使えますね。(ただし、盆栽ほどびっちり固くなるまで入れるとまずいですが。)

土を入れ終わったら、最初に外に垂らしたワイヤーを内側に持ってきて、プライヤーかペンチで両端をまとめてひねっていき、2〜3ひねりしたら、上を3センチくらいを残して余分なワイヤーを切断します。土とワイヤーの間に隙間がなくなるまでひねり、桜が固定されたらワイヤーのひねった部分を倒して土の中に入れます。ここのところは難しいので先生がやってくれました。

土を入れたら水やりです。たっぷりかけます。

次はこの土の表面に苔を貼ります。これで一気に盆栽っぽくなりますね。
苔はホソバオキナゴケという種類で、根がないので土から離れると枯れてしまうため、苔の裏側を土に密着させます。
また、水やりするたびに上からそっと押さえてやると土からの離脱を避けられるそうです。

 ブレンド土は粒が粗いので、苔と土をくっつける糊の役目をする培養土のような土を所々にうっすらと敷きます(上の写真。ボケました・・・)。

ここに苔を敷いていきますが、まずは桜の幹と鉢の端の幅が一番狭いところから始めます。この幅より大きめの苔のかたまりを置いたら、鉢からはみ出した苔を内側にまるめるようにしてピンセットで押さえていきます。幹の根元部分も同じように固定していきます。

次の苔を置くときは苔同士が重ならないように注意しながら、押しくらまんじゅうをするようにぎゅっと詰めていきます。ただし苔が土から浮かないように注意します。こうして土の表面を苔ですべて覆います。今回はすでに土に水をやっているので、苔の上からは水やりしません。
これで完成です。

最初に述べたように水やりは常時湿った状態にするのはNGです。苔が乾くと白っぽくなるのでそれを目安に水をたっぷり与えます。あとは鉢を手に持っているうちに「乾燥したなぁ」とわかるようになるのだそうです。ということで、先ほどの水やり前に鉢を手で持って重さを確認しました。
完成後は桜あん入りクリームみつ豆とコーヒー(または抹茶)をいただきながら育て方の講義です。

桜の盆栽ですが、育て方は「犬猫を育てるような感じ」で手間がかかるのだそうです。講義では、本年におけるこれからの育て方と通年の育て方のレクチャーがありましたが、長くなりましたので別エントリーにまとめることにしました。

こちらになります→1052 桜の盆栽の育て方

【成長記録はこちらです】
1056 今日の桜の盆栽(2015年4月5日)

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