前回のエントリにて桜の盆栽教室に行き作り方を教わってきたことをまとめましたが、そこに書き切れなかった「自宅に持ち帰って育てる際の注意点」「通年での育て方」などについてまとめてみました。
桜を育てるのはかなり手間暇がかかるということです。
本来なら外で育つ樹木ですから、盆栽に仕立ててもその本来ある環境を思い浮かべながら育てることが大事だと言います。
これは桜だけでなくどの樹木や草花でも当てはまるそうですが、大事なポイントは水やりや肥料ではなく、「どういった環境に置いて育てるか」。環境8割だそうです。
基本は「屋外で育てる」こと。
1 生育環境
桜は日の光が大好きな樹木なので、屋外で十分に日光に当てるのが良いのだそうです。
また風も生育には重要な要素のため、窓際で日光を確保できたとしてもほぼ無風な室内では、後述する温度管理も含め屋外と同様の環境に持って行けないわけです。
つまり、屋外に出したとしても日当たり、風通しが悪ければNGということになります。
余談ですが、手間暇かければ室内でもやってやれないことはないそうで、扇風機で風を当てたり、照明の調整で日照を変化させる、「冬」を作り出すために冷蔵庫で保管する、という工夫をして室内で育てている人もいるそうです。
庭のある一戸建てですと屋外に出すのは意外と簡単ですが、それ以外のマンション、ベランダのないアパートなどはどうしたら良いでしょうか?
まずベランダのあるマンションですが、ベランダの床に直置きは夏場にコンクリートに溜まった熱がダイレクトに根に届いてしまうので、そうならないために「すのこ」などを敷いて床から離します。高層階では地上より風が強い傾向にありますので風よけと倒れるのを防止する措置が必要です。風は必要なのですが、強すぎる風はNGです。
ベランダのないアパートでは、北国独特の二重窓であればその間に置くというのが良いそうです。ただし鉢が入るほどの幅がないとまずいですが。
それがなければ落葉から花芽がふくらむまでの冬場は物置など寒いところに入れるのもやむなしだそうです。(土が乾いたら水やりするのを忘れずに。)
それも無い場合はケースバイケースになりますが、原則は「屋外で育てる。花の時期は昼間だけ室内に入れて鑑賞し、夜は外に戻す」。
どういう環境がいいのか迷った場合、自然の桜がどうなっているのかを考えるといいそうです。
2 水やり
水分は、苔が乾くのを目安に水やりをします。前エントリにも書きましたが、根は乾燥した土の中で伸びるので、常に湿っている土では木が生長しません。水をやりすぎると最悪の場合は枯れてしまいます。
以前に桜の鉢植えをダメにしたのは、土を常時湿った状態にしたために枯らしたということが分かりました。
今回使用した中粒のブレンド土ですと500mlほどの水を鉢の穴からジャージャーと抜けるくらい掛けます。
この「ジャージャーと抜けるくらい」というのがポイントで、これで土の粒の間の空気が新しいものと入れ替わるんだそうです。
また、葉が出てきたら葉にもじゃばじゃばと水を掛けます。
葉を乾かしてしまうとハダニがつくためです。ハダニは葉の乾燥が原因なので、葉にも水を掛けるのをお忘れなく。
桜は水好きでもありますから、夏場は毎日水やりをします。
それ以外の春、秋は土の乾き具合を見て与えます。苔が白く乾いてきたら水やりのサインです。慣れてくると鉢が軽くなるのがわかるようになるそうです。
冬場は庭で雪に覆われている場合は何もしなくて良いのですが、ベランダ置きの場合は、冬囲い(後述します)の中に入れる前に水やりをして、時々様子をみて与えます。春・秋以上に水やりの感覚は長めです。
3 肥料
肥料は水と一緒に与えます。
ハイポネックスという液体肥料を使います。ホームセンターなどで「○○用」と用途が書いていない一般的なハイポネックスを購入します。
これを水で千倍以上に薄めて与えます。2リットルのペットボトルなら、2mlのハイポネックスを入れて水を足します。濃度は濃いより薄いほうがいいので、ハイポネックスは入れすぎないように注意します。
肥料入りの水は、このまま作り置きしておいても問題ありません。2リットルのペットボトルでだいたい3〜4回分になります。濃度が薄いので施肥目的で別に与えるというのではなく、普通の水やりの代わりにこの薄めたハイポネックス液を、葉が展開する5月くらいから7月中旬くらいまで与えます。
4 1年を通しての育て方
(1)3月〜室内での開花
盆栽開始の3月現在から説明を始めますが、「旭山」という品種は遅咲きのため、北海道の場合は5月中旬頃には花を楽しめます。
もう少し早く花を楽しみたい場合は室内に入れますが、室温20度の場合、約2週間で開花するそうです。そのまま放置しておくと葉が出てきますので、室内であまり葉を出しすぎないのがポイントです。4,5月から外で育てることになりますが、葉がたくさん出た状態でいきなり外に出すと、葉が黒く変質してしまうのだそうです。
できれば、花を楽しんだ後は葉が出すぎないように涼しい場所に移動させるのがいいようです。
できれば、外で生育して花が咲いた時だけ日中に室内で愛でる。夜は外に戻すというのがよさそうです。
(2)春先の屋外での注意点
桜の盆栽は春先の風は好きではありませんので、段ボールや発砲スチロール箱などで風よけをします。この時に日に当てるのを忘れずに。よけるのは風のみです。
ゴールデンウィークくらいから風に当てても大丈夫ですので風よけを外します。(北海道の場合。)
(3)開花後〜葉の展開(4月〜5月)
花を楽しんだ後は、花柄を軸ごと取り除きます。こうすることで葉への栄養が行き渡ります。
葉が展開したら日当たりと風通しの良い場所へ移動します。ここから前述の肥料入りの水を与えます。
(4)剪定(4月〜7月中旬)
葉が出てきたころから枝が伸び始めますので、全体のバランスを見て剪定します。剪定時期は4月から、翌年の花芽が出来る前の7月中旬までに済ませます。
枝を切る場合は、その枝に葉が2〜3枚残るように切ります。切り口には癒合剤を塗っておきます。
(5)花芽の分化(7月下旬頃)
来年の花芽が出来る前の7月中旬までは肥料を与えますが、これ以降の7月下旬くらいからは水のみになります。夏場は乾きが早いので前述したとおり水は毎日与えます。
(6)秋の水やり
秋は土が乾いたら水やりをしますが、夏場の反動でうっかり乾かし過ぎて枯らしてしまうということがあるので注意が必要とのこと。
(7)越冬
冬は寒いところで木を休ませます。
庭に置いてある場合は、雪が積もり始めたら幹の根元まで雪で埋め、枝が折れるのを防ぐために大きめの鉢などをかぶせておしまいです。もちろん水やりの必要はありません。
ベランダでの越冬は、ホームセンターなどで売っている蓋付きの発砲スチロール箱を使います。蓋に小さな穴をいくつか開け、すべての葉が落ちたら水やりをして箱の中に入れて蓋を閉めます。
時々中をチェックして、土が乾燥していたら水やりをします。(だいたい月に1〜2回。あまりじゃぼじゃぼにしないこと。)
3月下旬くらいから発泡スチロールの蓋を取ります。
庭にあるものは雪解け後にかぶせていた鉢を取ります。
いずれの場合も風よけは必要ですので上記の(2)に戻ります。
5 その他
今回使用した桜の苗木は接ぎ木による栽培で、台木は6年以上、接いだ部分は3年が経過したものだそうです。専門家が見ると接いだ部分が分かるそうですが、それもさらに3年以上経過すると分からなくなるそうです。
3年間育てたら植え替えをしますが、これから10年くらいは現在の鉢で良いそうですので実質は土の入れ替えということになるでしょうか。
この鉢に植えた際の底の針金を切り、木を取り出します。土は植え替え時の時のように全部取らなくていいそうです。
このときに根の具合を見て主流でない部分を切り取ったりするそうです。
10年後の植え替え時には別の鉢に入れ替えるのですが、それでも鉢の大きさは現在より一回りくらい大きいもので良いそうです。
まだ先の話でしたので植え替えはざっとした説明に留まりました。3年後に改めて確認しましょうか。
では、桜の盆栽、スタートです。どんな花が咲くか楽しみです。
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