2014年11月4日火曜日

0968 本屋で探検1〜「向こう側の遊園」(初野晴:著)

「不定期に本屋さんに行き、知らない作家の本を少なくとも1冊は買う」

このルールに則り購入した本の記録を兼ねて紹介する1回目は、初野晴・著「向こう側の遊園」です。
本のカバーにあった作家紹介欄をざっと見ますと、1973年生まれ、2002年に「水の時計」で第22回横溝正史ミステリ大賞を受賞しデビューとあります。ミステリー作家さんでしょうか。

「向こう側の遊園」は、2012年9月発行の単行本「カマラとアマラの丘」を改題し、2014年6月に文庫化されたものです。
文庫の場合カバーの裏にあらすじが書いてありますので、店頭ではまずここをチェックします。

花々が咲き乱れる廃園となった遊園地。そこには、謎めいた青年が守る秘密の動物霊園があるという。「自分が一番大切にしているものを差し出せば、ペットを葬ってくれる」との噂を聞いて訪れる人。せめて最後の言葉を交わせたら・・・。ひとと動物との切ない愛を紡いだミステリー。

動物霊園、ミステリーと聞いて、ペットセメタリーというタイトルでしたか、そんなオカルト映画を想像してしまいましたが、ぱらぱらと中を見るとどうやらそうでもなさそうです。表紙のイラストもかわいいですしね。それに「切ない涙のミステリー」と帯にあります。

なにやら曰くありげな買い主が、自分が一番大切にしているものと引き替えに愛したペットを葬ってもらいに来る。それも月明かりが差す廃園になった遊園地、墓守は謎めいた青年。

舞台はまさにミステリアス。不可解、謎めいたというより神秘的、あるいは幻想的といったほうが良い感じがしました。
それに、当方も猫飼い。訳ありではありませんが、(たぶん)イケメンの青年が墓守だったらお願いしちゃうかも、などと不謹慎なことを考えながらジュンク堂さんのレジに向かいました。

さて、本書は「カマラとアマラの丘」「ブクウスとツォノクワの丘」「シレネッタの丘」「ヴァルキューリの丘」「星々の審判」の5つのエピソードが収まっています。

その第1章の「カマラとアマラの丘」。
語り手の「わたし」が墓守の青年と問答を繰り返していきます。そして最後に「わたし」の正体が明かされ「え?」となるのですが、そこでまた最初から「その正体」を念頭に置いて読んでもまったく齟齬を来しません。さすが。なるほどミステリーでありました。

物語はテンポ良く進むのであっという間に1章分を読んでしまう。そしてまた最初に戻って再読してみる。こんな読み方をした物語は初めてかもしれません。

オススメです。



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