2015年1月30日金曜日

1022 本屋で探検・番外編〜「たんぽぽ娘」(ロバート・F・ヤング:著)

「不定期に本屋さんに行き、知らない作家の本を少なくとも1冊は買う」というルールに則って紹介するのですが、今回はよもやの番外編です。
ジュンク堂さんに本を「仕入れ」行き、横2列で面鎮されているこの本を見つけました。

「たんぽぽ娘」(ロバート・F・ヤング:著、伊藤典夫:編)

思わず書店で「うわ!懐かしい!!」と声に出してしまいました。


SFを愛読していた学生の頃、友人から「この作品がいいよ」と推薦されたのですが、すでに店頭になく、古本屋さんを回って買いました。それが、冒頭写真の右側、集英社文庫コバルト・シリーズ「海外ロマンチックSF傑作選2 たんぽぽ娘」です。(ヤングの作品は1編だけで、他に7作家の短編が収録されています。「たんぽぽ娘」は伊藤典夫氏の翻訳)

過去に「ロマンチックSF」としてくくられているだけに、ほろりとくる恋愛ものです。
夫婦仲が倦怠気味の40代のおっさんが夏期休暇をひとり別荘で過ごすことになり、そこで未来から来たという若い娘と出会います。短編なのであらすじ=全編紹介になってしまうのでこの辺にしますが、ミステリー好きなら察しが付くような結末であるものの、そこはミステリーではありませんので黙認してロマンチックな物語を楽しんでください。

さて、2015年1月に河出文庫から出版された「たんぽぽ娘」(冒頭写真左)は、訳者・伊藤典夫氏がヤングのおよそ200編もの短編のなかから13編を選び、「たんぽぽ娘」は伊藤氏自ら改訳して掲載しています。
この本そのものの初出は、河出書房新社「奇想コレクション」の1冊として2013年に出版されたものだそうです。

ヤングの代表作「たんぽぽ娘」に限って文庫の最後にある出版履歴を見てみますと、
  • 原題:The Dandelion Girl(1961/4/1)
  • 同人誌「宇宙塵」(1964年3月号)
  • 風見潤編「海外ロマンチックSF傑作選2 たんぽぽ娘」(集英社文庫コバルト・シリーズ 1980年)
  • 文藝春秋編「奇妙なはなし アンソロジー人間の情景6」(文春文庫 1993年)
  • SFマガジン2000年2月号/井上一夫訳、ジュディス・メリル編「年刊SF傑作選2」(創元推理文庫 1967年)
  • 「栞子さんの本棚 ビブリア古書堂セレクトブック」(角川文庫 2013年)

となっていました。SFマガジン版は、1967年刊行の本を2000年2月号で紹介したという意味でしょうか。

しばらくぶりに改訳で読んだ「たんぽぽ娘」は相変わらずほろりと来ました。女子ならこの未来から来た若い女性のシチュエーションにくらっと来るのではないでしょうか。どの年代の女性にもオススメします。

また、殿方が読んでもオッケーです。主人公は40過ぎのおっさんですし、弘兼憲史氏の劇画「黄昏流星群」に通じるところもありますのでオススメの1作です。


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