「先送り」
誰もが必ず直面する課題だ。
そして、誰もがどうにかしたいと思っているけど、ついやってしまう。
これをなんとか解決したい。そんな人向けのセミナー「先送りせずに「すぐやる人」に変わる3時間」が2013年3月31日、仙台市で開催された。講師は心理学ジャーナリストの佐々木正悟氏。
このセミナーでは、佐々木さんの書籍「先送りせずに「すぐやる人」に変わる方法」をベースに、先送りされやすい状況とその対策について説明した。ここでもの書き写真堂が悟ったのは、先送りとタスク管理は密接な関係にあるということだった。
3時間という長時間のため、ここでは速報的なエントリにせず、もの書き写真堂がぐっと来たポイントを前後編でまとめてみた。
まず、先送りされやすい状況は佐々木さんの分類では15にもなるのだが、そのうちから次の4つをピックアップして解説した。
- 認知的に忙しいとき
- やることをひとつに決められないとき
- 時間がとれないとき
- 緊急でない計画に直面したとき
1 認知的に忙しいとき
これは誰もが経験があることだと思うが、「あれもこれもやらなきゃいけない。あ〜忙しい!」となる。だが、こういう時というのはだいたい行動していないし、はた目からも忙しくは見えない。このような状況が、認知的に忙しいときに当たる。
人間の頭の中には、冒頭の写真にあるように何も考えずに行動する黒い人と、ゆっくり考えるカタツムリの人がいる。
だが、脳というのはただでさえ無駄飯食いなので、エネルギーを食うゆっくり考えることはやりたくない。なので、何も考えずに直感で行動できる黒い人を動かし、カタツムリは寝かせておく。黒い人は簡単な物事を急いで解決する。とりあえず目の前のことをやっている。この状態が続くのが脳にとっては理想なので(エネルギーを食わずにすむ)、難しい問題は先送りになってしまう。
この問題の解決策は「暇になること」。カタツムリの人を起こすには暇を作る必要がある。暇になりすべての行動や考えることをいったんやめ、ニュートラルになる。ここではじめて行動を切り替えることができ、先送りを防ぐことができる。
2 やることをひとつに決められないとき
これは1に関係するが、やる気がないわけではなく、「あれもこれもしなきゃならないけど出来ない。どうしよう?どうしよう?」とぐるぐる回っているだけ。
こんな頭が急いでいるときは、意識的にゆっくり動くことが大切。ゆっくり動くことを意識してカタツムリな人を起こす。つまり、直感で行動している状態から思考へとシフトしなければならない。そうすることでやる順番を決めることができる。(ぐるぐる回っている状態から脱出できる)。
3 時間がとれないとき
これも上記2つと基本は同じだが、「やらなければ」「どうしよう?」と焦れば焦るほど認知的に忙しくなる。結果として何もしていない状態が続き、「時間が無い!」と考えるようになる。黒い人は時間がなくなると、「この順番でこれをこなそう」と悠長に考えている時間すらないと感じられなくなる。「どうしよう?」と考えているのだが、カタツムリな人ほど論理的に考えることができないので、ぱっと思いついたことをやり認知的にも忙しくなる。しかも、時間もないものだからカタツムリを起こして考えてもらうということに気づけずに先送りになる。
この直感で動くこと、黒い人だけが動くことが習慣化してしまうと、カタツムリは動かなくなる。つまり考えて行動することができなくなって、やることが溜まり先送りに。
そんな時に威力を発揮するのがタスク管理。これでカタツムリな人が動く仕組みをつくる。タスク管理をすることで、今やらねばならないのは目の前にあるタスクひとつであることが明白になる。
4 緊急でない計画に直面したとき
「緊急ではない」で思い出すのが「7つの習慣」の第二領域「緊急ではないが重要なこと」。佐々木さんはこの本を読むたびに、「緊急ではないのに重要なことができるんだろうか?」といつも思うのだそう。人は緊急ではないことはしないのだ。
例えば、「朝7時から英語の勉強をする」という緊急じゃないけど重要(だと思われるよう)なタスクがある。でも、これより緊急なタスクが入ってきたとすると、
黒い人:今、英語の勉強をしている場合じゃないんだけど?
カタツムリな人:了解
と、頭の中でやり取りするが何の問題解決にもなっておらず、これが先送りの原因に。カタツムリは緊急性を確認しないとやらない。重要性より緊急性を重視し、さらに問題が最悪になりそうにならないと動かない。
明らかに緊急でないものをやる場合は、自分あてにいかに緊急であるかを知らしめる文章を書いて渡す必要がある。頭で考えているだけでは上記の黒い人とカタツムリな人とのやり取りのように、先送りになるばかりなのだ。
具体的には、「なぜやるのか?」「いつやるのか?」を文章で明確化する。このふたつを明らかにすることで緊急性を認識する。タスク管理をしている場合は、タスク名にこのふたつを織り込むのがキモ。そのため、佐々木さんのタスク名はやたら長くなるそうだ。(「○○さんに××駅でセミナー用のプロジェクターを受け取る」など)
明らかに緊急でないことをやるもう一つのやり方は、朝いち(ファーストタスク)にやること。この理由は1日における「認知資源」の量が朝いちに一番多いからだ。
まずは「認知資源」とはなんぞや?という話になるが、これは行動するためのエネルギー(佐々木さんの著書「スマホ時代のタスク管理「超」入門」34ページ参照)、マジックポイント(MP。以下のサイトに解説あり)と言い換えることができる。
シゴタノ! 面白いし役に立つ『ファスト&スロー』
「認知資源」は朝が一番最高で、夜になるにつれ何もしなくても消耗していく。加えて、脳はこの認知資源がたくさんあればあるだけ使ってしまう。つまり、認知資源が多い朝方や午前中にあまり重要じゃないことをやってしまうと、それ以降に重要なことや緊急なことが出てきてもエネルギー不足、ガス欠になってしまい、「今できないや。今日じゃ無くてもいいよね?」と、先送りに。
この認知資源は、休憩したとしてもほとんど回復しない。また、タスクを切り替えるたびにも消耗していくので、1日に処理できるタスク数にも限界がある。
そのために、重要なものは朝いち(ファーストタスク)でやることが推奨されているわけだ。
以上、セミナー前半での「先送りされやすい4つの状況」についてのまとめ終了。
次のエントリにてセミナー後半「先送りと言い訳」「アンカリングとタスク」などについてまとめます。
↓こちらになります。
435 「先送りせずに「すぐやる人」に変わる3時間」セミナーに参加した・後編
↓こちらもあわせてどうぞ。
438 認知資源について、いま一度考えてみた
↓こちらになります。
435 「先送りせずに「すぐやる人」に変わる3時間」セミナーに参加した・後編
↓こちらもあわせてどうぞ。
438 認知資源について、いま一度考えてみた
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