2012年9月11日火曜日

261 仕事について〜「自分をいかして生きる」を中心に

「常識からはみ出す生き方」(クリス・ギレボー著)を読んでから、仕事のあり方について考える機会が増えた。「そういえばこんな本が」とか、偶然読んだ機内誌の記事など、やたら目に付くようになった。もっともこれはそんな本や記事が増えたのではなく、意識・無意識にかかわらず気にするようになり、そのネタを脳が探し始めるかららしい。いわゆるカラーバス効果。




それはさておき、先日、関西空港までJALを利用したのだが、その機内誌skyward(2012年9月号)に、JALの植木社長と宮崎駿氏の対談が載っていた。

植木社長が、「パイロットの採用試験を受験する10人に8人は小学生の頃からの飛行機好きだが、3年の訓練が終わる頃には好きだけじゃ無理とわかる」と言うと、宮崎氏が「あらゆる職業において、好きというのと職業にするというのはたぶん違う」と同調する。ちなみにアニメーションの世界でも好きじゃないけど向いているという人がいるそうだ。


しかし「好きこそ物の上手なれ」ということわざもあるくらいだから、多くの人が「仕事をするなら好きなことを仕事にしたほうが、楽しくてやりがいもあるんじゃないか?」と疑問に思うだろう。





その疑問の答えを「自分をいかして生きる」(西村佳哲著)に見つけることができる。

「お客さんでいることを」と副題にある「答え」は、映画を例えに引き、映画がとことん好きだとしても果たしてそれだけで仕事にできるかと問いかける。確かに映画が好きで毎日のように映画館に足を運んでたくさんの映画を見ることは「お客さん」の立場である。そこで満足して終われば仕事にはならない。「好き」というだけでは仕事にならない。(文庫版P71)


では何が必要なのか?それは、自分の中からわき出すもの、好きだけではいられない何かもやもやとしたもの、悔しさ、なんとも表現のつかないもの、静かな水面にぽこっと泡が浮かんで波立つような感情だという。


もどかしさとか、言い尽くされた言葉でいえば「情熱」passionなのではなかろうか。好きすぎてもどかしいというか、「だーもー!自分でやる!」という投げやりとも勢いともつかぬ感情なんじゃないだろうか。
それが「好き」を超えて自分を突き動かし、仕事とする原動力になる。

この本のあとがきには、

やらされてやるような労働は、したくないし、してほしくもない。どんな難しさがあろうと、一人ひとりが自分を突き動かしている力、この世界に生まれてきた力を働きに変えて、つまり<自分の仕事>をすることで、社会が豊かさを得る。

また、本文中でこうも書いている(文庫版P140)。

なんでもかんでも世の中に向けて発表したり、それを仕事にしたり、収入に結びつけなければならないわけではないと思う。たとえそれがどんなに得意で、他の人より上手くできることであっても。
ただ、もしそれが自分だけのこととは思えなかったら、世界に差し出してみることができる。
(中略)
仕事は、自分の課題と社会の課題が重なるところにある。

これはつまり、「常識からはみ出す生き方」にある「生きた証を残すこと=他人(世界)に貢献できること」につながるのではないだろうか。


最後に。

「今の仕事は自分の求めるものじゃない」。
そう思ってもすぐ辞めないこと。単に上司や同僚が気にくわなくて辞めたいだけじゃないのか、単調でくだらない仕事だと決めつけていないか。これまでしてきたことを謙虚な心で振り返ったうえで、本当は何がしたいのか、どんな結果を求めているのかを考える。それから辞めても遅くはない。と、自戒を込めつつアドバイスしたい。


自分の仕事について考える。これはいくつになってもできることだ。極端なことを言えば、死ぬまで考えるべきことだろう。


人間死ぬまで勉強だと、我がモラ母が言った。それに加えて、人間死ぬまで他の人に貢献できること(広い意味での仕事、あるいはライフワーク)をする、というのも付け加えたい。




0 件のコメント:

コメントを投稿