2013年11月26日火曜日

0641 震災の語り部〜1本のペンのお話です。


先日、文具王のイベントで知り合いになった方に1本のペンを見せていただきました。
阪神・淡路大震災で被災したご自身のペンだそうです。

まっすぐなフォルムのままなので、少し離れてみると表面のでこぼこや傷が意匠のようにも見えます。

全壊したビルから地震後に持ち出した唯一の私物なんだそうです。
それを聞いた後はしばらく、何も言えずにこのペンを見入ってしまいました。
生き証人、語り部。そんな言葉も浮かびましたが、この今でも使えそうで何事もなかったかのようにテーブルに置かれたペンが語るものはたくさんあるように感じました。


「阪神大震災」という言葉は忘れたわけではありませんが、発生は1995年11月17日。日付が個人的に別の記憶と結びついているので覚えていたのですが、来年(2014年)で19年目になるんですね。

持ち主の方が語ってくれたことをまとめると、当時、夜勤明けだか早朝勤務だかでJRに乗っていて、列車が橋にかかったところで地震に遭い、その場で停車。遠くに私鉄の高架が見え、それが倒壊して列車が落下、煙を上げるのが見えたそうです。
すぐさま会社に駆けつけると、社屋は全壊。中に人が閉じ込められているかもしれないと、仲間とがれきを撤去しているときに潰れた自分のロッカーを見つけて、作業着に挿していたこのペンだけを手に取ったそうです。

(反対側も傷だらけ)
このペンが使えるかどうか聞きそびれてしまいましたが、ご自身は震災からずっと肌身離さずお守りとして持っているそうです。

「趣味の文具箱」(エイ出版)の編集部からこのペンについて取材を受けたとのことで、来月(2013年12月)発売の「趣味の文具箱28」に掲載されるそうです。こちらにもっと詳しい話が載るかもしれませんね。

貴重な品を見せていただき、ありがとうございました。

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