今回は、鈴木麻純・著「蛟堂報復録(みずちどうほうふくろく)1」です。
本作品は2009年に単行本として刊行後、2011年に加筆修正されて文庫化、2014年で6刷目というベストセラー。2015年4月現在で9巻まで出ているようです。
江戸時代から続く「蛟堂」は表向きは漢方薬局兼雑貨屋だが、裏の顔は「報復屋」。その12代目当主・三輪辰史(ときふみ。文中に「たつふみではない」とあったのでここはこだわりがあるのでしょう)は相当性格に問題があるが天才陰陽師。
地獄の沙汰も金次第ーー業(ごう)を背負う覚悟と金があるのならーーその恨み、蛟堂に預けてみませんか?悪いようには致しません。「一週間以内に、」ーー必ずや片付けてみせましょう。 蛟堂店主 三輪辰史
恨みを晴らすにもお金がかかる。それも数千万円? 辰史はお金がない人にはその筋の金貸しまで紹介します。しかし、一方的に依頼主の標的を片付けるのではなく、その標的にも救済の道(もちろん相当額の金銭報酬付き)を示しますが、だいたいは断られて業務完了。
第1巻には「清姫」「ピノッキオ」「赫夜(かぐや)姫」の3話が収録されています。1話目は鐘の中に逃げ込んだ男を焼き殺す道成寺のように、2話目はピノキオのような操り人形に閉じ込められ、しかもその前にそこに閉じ込められていた者と入れ替わるという標的の末路が描かれているのですが・・・。
ここまで読んで「ごめんなさい」。3話目が読めませんっ。
当方霊感体質のため、こういう怨念系物語はダメなのでした。以前にも、とあるコミックで似たようなことがあったのですが、まあ偶然だろうと思ってこの本を手に取ったのですが、やっぱりダメでした。
1巻目だけの感想ですが、じっくり物語を読ませる文体で、単純な報復劇じゃなく道成寺などをからませたり、ピノキオ、かぐや姫など一見報復とかけ離れているようなモチーフを使うあたりは秀逸だと思います。
しかし、当方にはやはり「恨み晴らさで・・・」はちょっと・・・。
霊感が強くない人、強くても気にしない人、普通の人は大丈夫かと。
報復を果たしたとき、依頼人は業(ごう)を背負います。「人を呪わば穴ふたつ」と言うように、そこまで覚悟して報復したい相手がいますか?だれもが必ず死にます。そんなダークな感情は捨てて、報酬ぶんのお金で人生楽しみましょうよ。そんなことを作中の依頼人に語りかけたくなりました。
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